概要
被相続人が生前に手がけた小説や論文などの著述のほか、写真や絵画、楽曲、デザイン、建築物といったものや、コンピュータのプログラムなどに著作権が発生します。 日本の法律では、著作権はどこかに申請しなくても、それらを創作した時点で自動的に発生するものとされています。
著作権は相続財産に含まれるため、相続することができます。 特許権や実用新案権などについても、著作権と同様に相続財産に含まれるため、相続が可能です。
■著作権の相続に手続きは不要
小説や論文、写真、絵画、楽曲といった著作物については、それらを創作した時点で、著作権が自動的に発生しています。 したがって、著作物の著作権を取得するための手続きは、基本的に必要ありません。 ですから、著作権を相続する場合も、著作権の移転手続き(被相続人から相続人へ権利を移転させる手続き)をする必要はありません。 相続人同士で話し合いをして、誰が著作権を相続するのかを決めさえすれば良いだけになります。
トラブルのもとを回避する為に、口約束をするだけでなく遺産分割協議書を作成しておきましょう。 もし、著作権を複数の相続人が分割するという場合は、著作権の移転手続き(著作権・著作作隣接権の移転等の登録)が必要になります。この手続きは、文化庁に申請します。
文化庁HPより 著作権に関する登録制度についてよくある質問
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/toroku_seido/faq.html
文化庁HPより 著作権登録の手引き(令和1年(2019年)7月を参照
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/toroku_seido/pdf/r1392469_01.pdf
■特許権を相続した場合は届け出が必要
被相続人が技術者であったり、工業製品等の会社を営んでいたりして、特許や実用新案などの工業所有権を持っていた場合、その工業所有権も著作権と同様に相続できます。
こちらも移転手続きの必要はありませんが、工業所有権を相続した旨を特許庁長官に対して、速やかに届け出ることが必要です。 ちなみに、工業所有権については出願の手続きの最中や、これから出願するという場合でも相続できます。 特許権・実用新案権・意匠権・商標登録権の4つの分類で申請書類が違いますのでご注意下さい。
参考:特許庁HPより 納付書・移転申請書等の様式(紙手続の様式)
2. 移転関係様式 (2) 移転登録申請書 e. 相続
https://www.jpo.go.jp/system/process/toroku/iten/tetsuzuki_08.html
■知的所有権の存続期間に注意
著作権や工業所有権には、それぞれについて一定の存続期間が設けられており、その期間を過ぎると著作権や工業所有権は消滅してしまいます。 著作権の場合は、著作物が創作された日から著作者の死後50年となっています。特許権の場合は出願の日から20年、実用新案権の場合は出願の日から10年です。
書類の作成
① 必要な書類を取得しよう
特許権等の移転登録に必要な申請書は下記、特許庁ホームページでダウンロードできます。
特許庁 – 納付書・移転申請書等の様式(紙手続の様式)
移転登録申請書の記載例は特許庁 – 主な申請書の記載例(特許)をご確認ください。
特許庁 – 主な申請書の記載例(特許)
申請・届け出
特許権・著作権の相続手続きの提出方法
事前準備
【特許権他移転登記】
・相続による特許権移転登録申請書(実用新案権・意匠権・商標権)
・戸籍謄本等(被相続人が死亡しているのが分かる書類と相続人資格が分かる書類)
・遺産分割協議書
【著作権・著作作隣接権の移転等の登録】
・著作隣接権登録申請書(書き方は 文化庁の登録の手引きのP53~を参照)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/toroku_seido/pdf/r1392469_01.pdf
・ 実演(レコード,放送,有線放送)の明細書
* 前登録がある場合は,著作物の明細書は不要です。
・ 登録の原因を証明する書類
* 譲渡契約書の写し,譲渡証書など
・ 登録権利者が単独で申請する場合は,その権限等を証明する書類
* 登録義務者の承諾書
・ 代理人が申請する場合は,その権限を証明する書類
* 委任状(書き方は 70 ページを参照)
特許権・著作権の相続手続きの申請期限
なるべく早く
特許権・著作権の相続手続きの申請者
葬儀を行った喪主等
特許権・著作権の相続手続きの申請先
特許庁、文化庁
特許権・著作権の相続手続きの申請にかかる費用
特許 3,000円
著作権・著作作隣接権の移転等の登録 9,000円
特許権・著作権の相続手続きの申請時の注意事項
著作権や特許権の権利によっては、延長や更新ができるものがあります。 それぞれの手続きに必要な書類や届け出る先が変わりますので、分からないことがあれば、専門家に相談されることをおすすめします。