今がチャンス!お金をかけずに事業継承する方法
事業承継と税金
大手家具メーカー大塚家具が代表者をめぐって紛糾する中、一部の企業オーナーは一抹の不安を覚えられたかもしれない。
自分の事業継承は大丈夫だろうか、と。
もちろん、大塚親子のケースほど大ごとになるのはまれだろう。
しかし、遺産相続で遺族間のもめ事が絶えないように、事業承継においても単に経営者の名前が変わるだけでなく、自社株から従業員、その他の資産など巨額の価値が譲渡されるのだから当事者間で分儀が起こることは容易に想像がつく。
しかも通常の遺産相続と異なり、後継者には財産だけでなく社の命運までもたくすのだから、前任者には適格な後継ぎを選任しなくてはならないという課題もある。
その重責をなるべく後に伸ばしたい、今はとにかく自分の仕事に専念したいと考えるのは自然な発想だ。
また、そのためにも事業承継という大きな問題はひとまず保留しておきたい、という気持ちも理解しうる。
だが、会社を残すか、それとも……という選択は一朝一夕にできるものではなく、早くから考えておかねばならない問題だ。
税制改定の中身
そんな悩む社長を後押しする税制の改定がなされた。
今年一月より相続税・贈与税の改定が適用されるが、それに伴い自社株譲渡が大幅にやりやすくなった。
事業の存続を保証するための税制上の優遇は、従来からある。
先代経営者(被相続人)から自社株を相続される場合は税額の80%、贈与なら100%が猶予となり、被相続人が亡くなったときにはその猶予された金額は免除となる。つまり、実質税額の80%または100%は払わなくて済む。
ところが、これまでの制度には欠点があった。条件が厳しいのだ。
猶予が認められるには、
1)後継者は現経営者の親族でなくてはならない
2)現経営者は贈与時に役員を退任しなくてはならない
3)相続・贈与から五年以内に倒産または清算したら猶予は打ち切り
4)事前に経済産業大臣の許可が必要
5)雇用の八割以上を五年にわたり毎年維持する
という条件を満たさなくてはならなかった。
そのため優遇制度を利用できる会社は限られ、関門をくぐりぬけて果実を味わう社長はごく一部だったのだ。
それが今回の改定により、それぞれ次のように緩和された。
1)親族以外でも可
2)贈与時に代表を退任すれば可(有給役員として在任できる)
3)民事再生、会社更生、中小企業再生支援協議会で事業再生に際にも、納税猶予額を一部免除
4)事前確認不要
5)五年間で、平均して雇用の八割以上が確保されていれば可
この条件緩和により、事業継承が容易になり中小企業の倒産が減ることが期待される。
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