相続税

節税ことはじめ

相続税対策というと節税ばかりを思い浮かべがちだが、実際には納税資金をどうやって捻出するかも視野に入れなくては、十全な相続税対策とは言えない。もちろん、相続財産に現金が十分にあり、そこから相続税をすべて収めることができるのなら苦労はしないのだが、そうはいかないことも多々あるだろう。そうなった場合、どうするか。

もっとも一般的な捻出方法として、生命保険金への加入があげられる。これは、保険料の支払いによって創造財産額を一時的に減らしておけるほか、以前説明したように保険金に非課税枠が認められるからで、たとえ生命保険金が多額であっても、相続税がかかる可能性は同額の現金を持っている場合よりも低くなる。

「相続税ことはじめ」でも述べたように、相続税に比べて贈与税は税率が高く、迂闊に多額の贈与をしてしまうと泣きを見ることになる。しかし、基礎控除額は贈与を受け取る人一人一人に認められるため、贈与を分散すれば税額は少なくなる。

事業用でもなく、宅地でもないいわゆる更地は、路線化方式によると評価額が高くなるのをご存じだろうか。評価額が高いということは相続税の計算において不利になるわけで、節税を考えるのであれば、更地についても何らかの策を講じる必要がある。

更地のほか、既に住まいを持っているのなら、採算が採れる可能性が十分にあれば賃貸アパートやマンションを建てて経営することも選択肢のひとつだ。また、持っている土地を居住用に使っているのなら、小規模宅地の特例を使うのもよいだろう。これは一定の親族が自宅や事業用の土地を継承する場合評価額を50~80%下げることができるという特例で、税務署に申告することで適用されうる制度だ。

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