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今からできる、実家の片づけ

ダイヤモンドの調べによると、相続でもめることになりがちなのは資産家ではなく、むしろ財産額が競う控除額以下の、いわゆる一般家庭だという。

ある程度の財産をお持ちのご家庭であればその処分をどうするかについて、所有者の生以前からある程度話が進んでいることも多いのだが、そうでないご家庭の場合、遺産相続について初めて考えたのは、故人が亡くなってからだということが少なくない。また、ごく限られた財産を、少しでも多くもらいたいという願望が先だって目の色が変わってしまい、他の相続人のことにまで気が回らなくなってしまい、結果それぞれの相続人が私利私欲に走り、意見を衝突させることになるようだ。

 

遺族間のいがみ合いを避けるにはどうしたらよいのか。

もちろん、早めに対策をとっておくに越したことはないのだが、では何をすればよいのか、と改めて考えてみると、答えに窮してしまう方もいるのではないか。

そこで、今回は親がまだご健在なうちから手軽にできる、実家の整理の仕方をご紹介しよう。

 

まず念頭に置くべきは、片づけるのは実家であって、自分の家ではないということだ。

世代間格差やそれ以前の価値観の違いなどから、家をどのような状態に保っておくかについては、親子で意見が食い違うことが少なくない。

たとえば、ものを無駄にしないことが美徳と教えられてきた世代の人々にとってはなるべくごみは出さず一つのものを使い続け、使えそうなものは捨てずに手元に残しておくことが望ましい選択肢となる。

だが、使い捨て世代の人間にとっては、何でもかんでも買っては捨てるのが正しいとは言わないまでも、使えなくなったらすぐに処分し、安価なもので代用できるなら、そうしたほうが効率的だという考えが支配的ではないか。

 

両者の意見にはそれぞれ一理あり、どちらが正しいということは一概には言えない。しかし、少なくとも実家においては、あくまで居住者である親の意向が優先されるべきだろう。

もちろん、使えそうだからと言ってものをため込んでしまい、ごみ屋敷と化してしまうような事態は避けなくてはならないが、明らかに他者の迷惑となっているのでもなければむやみに親の持物は捨てるべきではない。

まして、自分がいらないと思うからと、親の持物を勝手に捨てるのはもってのほか。本人にとってはかけがえのない貴重なものであることも往々にしてあるからだ。

実家の整理は、いずれは整理する当人に資することになるのだが、ひとまずは親のために行うのだと考え、彼らの不利益になるようなことは避けるべきだ。

前回は、実家の片づけを行う際は子ども(あなた)の価値観や判断を優先するのでなく、あくまで親の意見や方針に沿うべきことを説いた。

それでも、今後のことを考えるなら、明らかに正したほうが良い点や、早くに処分したほうが双方のためになるようなものも存在する。

今回はそれについて一言しておこう。

まず、安全上明らかに問題のあるようなものはなるべく処分するか、改善しておいたほうがよい。

たとえば、さすがに最近では囲炉裏のある家庭は少なくなったものの、灯油ストーブをつけて、その上にやかんを置いて加湿器代わりにしているご家庭はまだ少なくないだろう。

しかし、こうするとやかんの水が切れたときやかんが高熱を発し、触れたときなどにやけどする恐れがある。

そうでなくても、沸点近くまで温度が上昇した水を放置しておくのは、やはり危険だ。

加湿器は別に購入し、コンパクトで安全なストーブを用意するなどして、安全に配慮したほうがよいだろう。

 

また、親の持物も、小物であればその都度本人に確認し、必要がないと判断されればその場ですぐ捨てることもできようが、大型の家具や高価なもの(中古自動車など)は厄介だ。

なまじ価値があるために本人にとっては捨てがたく、しかしこれらをため込んでおくと、いざ当人が亡くなった時、あちこちの廃棄物処理業者や遺品整理業者に当たらなくてはならず、幾分面倒な作業になる。

そのため、生活に必要なもの以外はなるべく今のうちに処分しておいたほうがよいだろう。

その際親を説得するうえで有効なのは、本当に必要なのかどうかを考えさせ、必要だとしたらそれはどういった場面でなのかを問うことだ。

たとえば、高齢者の運転は危険だということで自動車を処分してもらいたいときは、頭ごなしに古いからとか年を取っての運転は危険だと決めつけるのではなく、最近の高齢者の運転による事故の事例などを上げつつその危険性を示唆しつつ、歩いて通うことのできる店舗の存在を示したり、配達サービスの利用を検討させたりというように、代替案を示すことも有効だろう。

その際もやはり肝心なのは、主体となるのは親であってあなたではないという意識と、それゆえ相手を説得する際も、自分の意見をかたくなに押し通し、強要するのでなく、納得させたうえで本人の同意を引き出そうという心構えだ。

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