相続財産遺産分割協議

負けない相続。対策本を読んで、相続について理解したつもりになっていませんか?

 相続ドットコムのロゴマーク(登録商標)に示すように、被相続人から相続人に財産を受け継いでいくことが相続ですが、その相続の一定割合が相続紛争(“争族”)になっています。これは、事前の対策を行っていなかったか、不十分であったことが主な原因の一つと考えられます。

 では、十分な相続対策とは一体なんでしょうか?よくある対策本を読めば、円満相続は約束されるのでしょうか?

 答えはNOです。現実は本に書いてある通りでないことも多く、その場合にどうしたらよいかまで手続本は教えてくれないからです。

 依田渓一弁護士による著書『負けない相続』は、「円満相続のための対策」は巷でよく謳われていても、不幸にもその通りにならなかった場合どう対応すべきかについての情報は圧倒的に不足しているという問題意識のもと、これまでエアポケットとなっていた相続紛争の戦い方についてのリアルな情報・知識を「ストーリー仕立て×ポイント解説」で紹介している本です。

▼書籍の情報▼ ——————————————————————–———–—

『負けない相続』 (amazonのサイトにリンクを張っています。) 2022年12月25日 第1版第1刷発行  著者 依田 渓一(三宅坂総合法律事務所パートナー弁護士) 発行所 (株)中央経済社

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 何らかの対策を立てていても、結局フタを開けてみれば、ごく普通の家庭が激しい“争族”に発展してしまったり、老親の介護を献身的に行ってきた相続人がその貢献を全く考慮してもらえず悔しい思いをするといった事例を多数取り扱ってきたという依田弁護士は、正しい相続対策は厳しい現実の把握から始めるべきであり、また、いざ相続紛争になってしまった場合にどう対処すべきかをある程度理解してはじめて相続対策は完成する、という信念を持たれています。

 さらにこの『負けない相続』の特徴として、前半の物語編で主人公の立場や相続トラブルの種類、遺産規模の異なる3つの紛争がストーリー形式で繰り広げられることで、読者は3タイプの相続紛争を疑似体験できることが挙げられます。実話に近いエピソードを通じて、当事者がどのような心境や背景で紛争に至っているかも、リアルに感じられるものとなっています。

 そして、後半の解説編では、物語編の各エピソードに散りばめられた相続紛争解決の基本的なポイントや、相続紛争に負けないための戦略について紹介されています。

 『負けない相続』は、相続紛争の戦い方について具体的に紹介し、適切な相続紛争の解決に繋がることを願って執筆されたものですが、その背景には、相続人が相続紛争を嫌な思い出として記憶するのでなく、そこから何かを得て欲しい、そして紛争解決後も前向きに生きて行って欲しいという依田弁護士の強い思いがあるそうです。

 既に相続紛争に巻き込まれている方、これから相続紛争に巻き込まれる可能性がある方、相続対策を行おうとしている方、相続に興味のあるすべての方、加えて相続事案を扱う職種の方々のお役に立つ書として、本書を強くお勧めします。