遺言書

親に遺言書を書いてもらうには

遺言書を書いてもらう

親に遺言状を書いてもらうにあたって、決してしてはならないのは、「遺言状を書いてくれ」と、ストレートに切り出すことだ。
これは相手によっては「あなたはもうじき死ぬのだから残される人間のことを考えろ」というメッセージに受け取りかねず、失礼にあたる。

まずは遺言状そのものから距離を置いて、相続の話題を振ってみてはどうだろうか。
「相続税法の改定で、相続のことを少しかじったのだけれど、このことでトラブルになって家族が不仲になることが多い」とか、「うちには大した財産などないから相続税など無縁だと思っているかもしれないけれど、いざ数えてみると結構あった、という話をよく聞く」などと、本人の関心を誘うように話を持っていってもよいだろうし、「我が家の財産は、きょうだいで公平に分けるか、ものいりなところに多く回すか、どちらがいいと思う」と、本人の意向を聞いてみるのもよいだろう。
話に乗ってきたら段々と本題へ話を持っていこう。もし本人が乗り気になって書く気になったら、何を、どのように書けばよいのか教えればよい。

中身に注意しよう

ただ、「教える」といっても、遺産分割に支障をきたすような内容は避けた方がよい。
たとえば、「長男に全部相続させる」などという内容では他の遺族から不満が噴出するのは火を見るより明らかであり、そうなっては円満・円滑な相続を実現したいという遺言書の目的が達成できなくなり、いわば本末転倒となってしまう。
そこで、いざ本人が書こうと決意したら、一度近親者や当事者が集まり、財産の分け方などについてある程度内容をオープンにしておくことが望ましい。
作成者が亡くなってからでは遺言書は変更が効かないので、ひとたび書くとなったら、もめごとの種は早めに積んでおくに尽きる。

最後に、遺言書に記載しても効力はないものの、しばしばもめ事になるため確認しておいた方がよいことを並べておこう。

・寝たきりや認知症になったとき、介護はどうするか。成年後見人制度(依頼を受けた後見人が、意思決定のできない人の代わりに取引などができる制度。特に最近は認知症の家族がいる方が増え、この制度を利用する方が多くなってきている。成年後見人制度の手続き法はこちらを参照されたい)を希望するか。
・万一回復の見込みがなくなったら、延命措置を希望するか。
・葬儀の規模や、参加者の連絡先。

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