いざという時、家族はこれで安心――生命保険加入のメリット
生命保険に加入しようか?
よく、生命保険の入門書などに次のように書いてあるのを見かける。
生命保険に入っても、保険料をひたすら払い続けた挙句もらえる保険料は保険料の総額より少なく、損することがある。
しかも、死亡の仕方など条件によってはもらえないこともあるし、定期保険で満期が来たら、そもそも1円も受け取れない。
そのため、保険に入るくらいなら、保険料と同額の貯蓄を積み立てた方がよい。
預貯金なら自由に運用でき、すぐに活用できるため緊急時にもすぐに対応できる。
一見、正論のように思える主張だが、二つの点で問題がある。
今回は、「生命保険の代わりに貯蓄」という選択肢がいかに実現困難かを説いたうえで、保険に加入することで得られる利益を二点紹介しよう。
保険料で家族の安心を買う
たしかに生命保険には、変額保険(保険会社の業績次第で保険金が変わる)で損をしたり、掛け捨ての保険に加入していて万一のことが起こる前に満期が来てしまうといったリスクがある。
しかし、残された家族が、まとまった額のお金を受け取ることができるのは大きな強みだ。
いざという時に備えて預金するにしても、遺族が生活するに足る金額(あなたのほかに働き手がいなければ、家族が10年生きてゆくには少なくとも2,000~3,000万円は必要だ。保険文化センターのホームページを参照)を積み立てるには相当の期間がかかる。
しかも、厚生労働省の統計を見てもわかるように、40代男性の死因はガンや心疾患が上位を占め、働き盛りの方にも不測の事態はいつ訪れるかしれない。
そのため、せっせと積み立てている最中に……という可能性は、払しょくしきれない。
そんなとき、生命保険に加入していれば遺族は平均2,000万円超の保険金を受け取ることができる(保険文化センター調べ)。
また、入院保険の下りる保険であれば、大事に至らなくても休業期間の収入は補償されるので安心だ。
さらに、生命保険金は相続税の納付にも有効であることはご存じだろうか。
「はじめての相続」にも書いたことだが、相続税は原則として現金で一括で納めなくてはならない。
しかし、葬儀や諸手続などで出費のかさむ時、高税率(最低10%)の相続税を支払う余裕のある家庭は多くない。
そこで、生命保険の死亡保険金が下りれば納付に充てることができるのだ。
このように、生命保険は単に遺族のその後の生活を支えるだけでなく、相続税対策としても役立つのだ。
とはいえ、では生命保険に入れば常に得をするのかと早合点してはいけない。自分が加入しようとする保険の中身をよく知らず、生保レディの言いなりになって加入すれば、全く自分のライフデザインに合わない高額な保険を買わされ、結局は損することになる。
たとえば、入院しても短時日で退院できる30~40歳程度の方が、長期の入院給付金付きの保険に入るのは得策ではない。
肝心なのは、自分の今の支出状況からして家族には将来いくら必要なのかを見積もり、それを満たしてくれるだけのお金を確保することだ。
そしてその設計を助けてくれるのが生命保険なのだ。