相続税ことはじめ――相続税の対象とそうでない財産
相続税は、相続が開始されたときに被相続人(故人)の財産を受け取ったときにかかる可能性のある税金なのだが、この財産というのが曲者で、お金や、現金に換算できるもの全てを指すわけではない。もちろん、建前上は被相続人が持っていた財産一切が相続財産となり、土地、家屋、株式、現金、預金など被相続人の所有物で、相続または遺贈(遺言書などで、財産を本来相続権のない人に譲ること)したもの全てがこれに含まれる。
「相続税ことはじめ――相続税の対象とそうでない財産②」
しかし、原則には例外がつきもので、一見故人の財産のように見えて、相続財産の対象外とされるものがある。相続財産とそうでないものの区別を、まずは区分してみよう。
1.相続財産となるもの
現金・預金、土地・建物などの不動産、株式・債券等有価証券、ゴルフ会員権、家財道具当一般財産、書画・骨とう品
2.相続財産とならないもの
墓地、墓石、仏壇など先祖をまつる礼拝の対象となっているもの、宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う人で、一定の要件に該当する人が取得した公益事業用財産、心身障害者共済制度に基づく、給付金の受給権、相続税の申告までに、国や地方公共団体、特定の公益法人などに寄付したお金など
相続財産でないものには、次のような特徴がある。故人の身体・精神的障害を補うあるいは支えるために使われるお金や先祖をまつるための施設や儀式に要する費用(単に宗教に対してつかわれるお金でないことに注意。たとえば、同じ仏像でも骨とう品としてもっている場合は相続財産とみなされる)、公共目的で使われたり寄付されたりしたお金が相続財産でないもの、すなわち非課税の財産にあたる。ただ、実際にはこれ以外にも相続財産なのかそうでないのか、一見しただけでは分かりにくいものもあるため、以下ではこれを掘り下げて解説しよう。
ただ、相続財産のうちには、個人の所有物とは言えないようなものまで含まれている。それがみなし相続財産と呼ばれる代物だ。
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