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熾烈なる親子バトル、ついに決着

大手家具メーカー大塚家具のトップ争いが、とうとう終局を迎えた。同社は3月27日に株主総会を開催、経営権を現会長の勝久氏と久美子氏のいずれに付与するかを問うた。

その結果、久美子氏に軍配が上がり、同氏の続投が決定する一方、勝久会長の退陣が決定したのだ。

 

今回の内紛は、最終的には経営権を巡る争いとなったが、そもそもの発端は、勝久氏の保有株の扱いとされる。2009年に父の後を継いだ久美子氏は、彼の保有する株の一部を資産管理会社「ききょう企画」に移すよう提案した。

之は、勝久氏の死後株式が四散し、大塚家の議決権が半減することを危惧しての、一種の事業承継対策といえる。

社長の座を譲った勝久氏は同意し、保有株の一割(大塚家具の株全体の約2.7%)を同企画に売却した。この段階では、事業承継は今後スムーズに進む見通しが立ったように思われていた。

 

ところが、昨年一月、事態は急転機を迎える。

久美子氏は、ききょう企画の役員でもあった、実母千代子氏と長兄勝之氏を解任し、実質的な株主となった。

後者二人はかねてより勝久氏の方をもっていたのだが、一方の久美子氏はビジネスモデルにおいて勝久氏と真っ向から対立しており、彼らにご退陣願うことで、自らの経営方針は推し進めようとしたとみられる。

味方をを外された勝久氏の怒りは心頭に発し、娘を解任し、自ら社長に返り咲くこととなる。

そこで久美子氏は反撃に出、今年一月の取締役会で父の退任を提案した。「(勝久氏がいては)健全な議論ができない」というのが、当時久美子氏が挙げた理由だ。

こうして、親子争いは本格化することになった。

 

※たとえば、勝久氏は顧客に店員が付き添って店内を案内するという高級家具店のイメージを確立することで大塚家具を拡大させたのだが、対する久美子氏は客が気軽に来店し、見て回れるようなカジュアルな雰囲気を作り出すことで、中高所得世帯以下の顧客も取り入れようとした。

なゼ、これほどまでに対立が深刻化してしまったのか。

一つには、勝久氏が采配をふるっていた当時からの経営体制にある。大塚家具では同意が絶大な権力を有しており、経営方針の修正や転換を進言するような立ち場にある、有力なブレーンが不足していた。

そこで勝久氏の独断専行がまかり通ることとなり、結果久美子氏が介入するまでには一人歩きの項巣が確立してしまっていた。

そのため、親子争いが深刻になる中、取締役会の面々はただ手を拱いていることしかできなかったのだ。

 

第二に、親子間のコミュニケーションが十分でなかったことも挙げられよう。

2月の記者会見で久美子氏は「自分のビジネスモデルについては、父に度々説明してきたのだが、聞き入れてもらえなかった」という趣旨の発言をしており、両者の間で、意見のずれというより、そもそも満足な意思疎通が成立していなかったことを示唆する。

そうしてトップがすれ違ったまま、溝が深まりこそすれ埋められることなく事態が進展してしまった。

 

では、今回のような対立の再発を防ぐためには、今後なすべきか。

まずは取締役会に、株主目線からのチェック機能を持たせることだ。政府はコーポレート・ガバナンスの改善を期して一部上場企業に対して社外取締役の設置を義務付けてはいるが、たとえ第三者の立場から当該企業を監視できたとしても、その人物にしかるべき権限が無くては本来求められる機能を十分発揮できず、有名無実と化す。

そうならないためにも、今後取締に対して役は社内外の情報を収集し、健全な企業統治がおこなわれていないと判断される時は、進んで諫言するような役割と意識が求められる。

 

また、事業承継の際、現経営者と後継者の間でしかるべき意思疎通を図ることも必要だ。

事業承継は単なる自社株の移譲ではない。

それまでの経営方針を踏襲するのか改めるのか、どちらにするかで適任となる人物を選択しなくてはならず、場合によってはトップ以外の人材の後退もありうる。

さらに、後継者を社外から選ぶか、社内の人物を抜擢するかで現経営者の取るべき行動は必然的に異なってくる。

 

このように、事業を受け継ぐとは単なる財産の受け渡し行為ではなく、トップの動きを左右し、ひいては回yさの命運を占う重大事である。

これを円滑に行い成功に導くためにも、後継者と現経営者の間では事前に互いの方針を伝えあい、合意を形成しておかなくてはならない。

その意味で、事業承継に矢継ぎ早に行ってはならず、十分な時間をかけ、適切な調整を行うべきなのだ。

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